もしあなたのお住まいで雨漏りが起こってしまったら。部屋が濡れるのは嫌でしょうし、天井や床が腐ってしまうおそれもあるので、何かしらの対策を取る必要があります。
さまざまな場所からの雨漏り被害がありますが、意外と多いのが、換気扇からの雨漏りです。じつは換気扇はさまざまな要因で雨漏りしやすい構造になっており、防水処理が重要になってきます。
今回はなぜ換気扇からの雨漏りが起こりやすいのか、実際に雨漏りが起こったらどうすればいいのかをご紹介いたします。
換気扇から雨漏りはしやすい?構造に関係あり!
そもそも換気扇は雨漏りが非常に起こりやすい構造になっています。換気扇は換気口を入り口にしてトンネルのように室内に直接つながる構造をしており、換気口は非常に密閉度が低くなっています。
これによって外から雨水が浸入しやすくなっていて、同時に入ってきた雨水は遮られることなく室内に届き、そのまま雨漏り被害が発生してしまうのです。また、換気扇の構造によって雨水の侵入経路は若干異なります。
プロペラファンの構造
プロペラファンは、メンテナンスのしやすさとコストの低さから、古くから普及している構造です。壁の外側に開口してプロペラを設置する構造になっておりますが、空気を押し出す力が弱く、雨風の侵入を防ぐ力はあまりありません。
古いアパートなど、年数の経っているプロペラファンはモーターの消耗などの問題もあるため、雨漏りにはとくに注意する必要があります。
シロッコファンの構造
シロッコファン(レンジフード)は縦に細い羽根を持つ円柱型のファンが取り付けられているのが特徴で、近年主流となっている換気扇です。プロペラファンに比べて雨風は侵入しにくくなっていますが、本体と離れたところに排気口があることから、万が一雨水が侵入しても気づかない場合も多いという欠点があります。
原因究明!換気扇の雨漏りはココから発生
換気扇の雨漏りの原因として、一番注意しなければならないのは換気口ですが、換気口に問題がなくても、他の原因で雨漏りが発生している場合もあります。今回は換気口以外によく見られる換気扇の雨漏りの原因を6つご紹介いたします。
コーキングが割れている
コーキングとは、シーリングとも呼ばれる外壁と換気扇の間の接着剤のような素材です。固まって壁と換気扇の間を密封する役割を持っていますが、どうしても経年劣化によって割れてしまう箇所でもあります。施工されてから10年ほど経つとコーキングがひび割れをはじめ、そこから雨水が入り込むようになってしまいます。
外壁にヒビが入っている
経年劣化によってヒビ割れるのはコーキングだけではありません。外壁も時が経てば劣化してヒビ割れが起こってしまいます。排気口付近のビスが打ってある箇所などはとくに割れやすいといわれており、ヒビ割れから侵入した雨水は換気扇のダクトにつたって雨漏りを起こします。
ダクトの勾配に問題がある
雨水が入り込んだ場合を考慮し、換気扇のダクトは雨水を外へ排出するための勾配を付けて設置されます。しかし、古い建物や建設時に不備があった建物のダクトは、十分な勾配を付けられていないケースも多いです。
またごくまれにですが、室内に向かって逆勾配にダクトが設置されており、ダクトが雨漏りの原因になっている換気扇もあります。
フードが劣化している
雨水の侵入対策として排気口を覆うように設置されているフードですが、フードが樹脂製の場合、経年劣化によって割れてしまうことがあります。当然、雨漏り対策として取り付けられているフードが壊れてしまえば、そのぶん雨漏りの対策が不十分になってしまうので、雨漏りの原因になり得ます。
逆向きの強風が吹いている
換気扇の方に壊れている箇所がなくても、台風などで排気口に向かって強風が吹けば雨の侵入を許してしまい、雨漏りが発生します。台風や暴風雨が近づいている場合には、自分のお住まいの換気扇の状態を確認して、必要であれば外部から補強する必要があるでしょう。
換気扇外にトラブル発生
ごくまれにですが、換気扇から雨漏りをしていても、原因は換気扇から離れた場所にある、というケースがあります。換気扇のはるか上の箇所のヒビ割れやコーキング割れによって侵入した雨漏りが換気扇まで届いてくることもあるのです。
こうなると原因を特定することは業者でも難しくなってしまい、より詳しい調査が必要になってしまうでしょう。
雨漏りによる家屋損害は火災保険が使える
換気扇の雨漏りによる家屋損害を放っておいてもいいことはありません。業者などに依頼して直す必要がありますが、じつは雨漏りによる家屋損害には、火災保険が適用される可能性があります。
補償対象になるケース
火災保険で補償の対象になるのは、自然災害によって受けた被害の場合です。「台風で換気扇が壊れた」「地震で外壁にヒビが入って雨漏りが起こった」といったケースであれば火災保険が適用できる可能性が高いでしょう。
補償対象外のケース
逆に、火災保険の補償対象外のケースというのは、人為的に起こされた被害を指します。「リフォームをしたら雨漏りが起こるようになった」「施工不良で雨漏りが起きている」という場合、火災保険の対象にはなりません。
また、雨漏りの原因が換気扇の経年劣化によるものだったり、雨漏りが起こってから3年以上放置していた場合は火災保険の補償対象外のケースになってしまいます。
雨が降っても雨漏りさせない!予防対策をしよう
構造的にどうしても換気扇は雨漏りが起こりやすいものですが、換気扇に雨水の侵入を防ぐ対策をすることで、雨漏りを防ぐことができるかもしれません。換気扇の雨漏り対策として代表的なものをご紹介いたします。
レンジフードを取り付ける
古いプロペラファンを使っていてさまざまな箇所が劣化している場合、思い切って新しく雨水の侵入しにくいシロッコファン(レンジフード)を取り付けるのもいいかもしれません。
レンジフードを取り付けるのは雨漏りの対策になるだけでなく、電気代や騒音が軽減される点でも大きなメリットがあります。興味があれば、一度業者に取り付けの相談をしてみるのをおすすめいたします。
劣化箇所はシーリングで補強する
劣化してヒビ割れてしまったコーキング(シーリング)は自分で補修することが可能です。ホームセンターなどで手に入るシーリング剤を使って補修ができますが、単にヒビ割れている隙間にシーリング剤を詰め込めばいいというものではありません。
ヒビ割れの上にシーリング剤を上塗りすることを「増し打ち」といって、増し打ちをしてヒビを埋めても、ほとんどの場合シーリング剤が馴染まずにすぐに取れてしまい、意味がありません。新しくシーリングで補強する場合は古いシーリングを撤去する必要があります。
知識のない状態で下手にシーリングに手を加えてしまうと、かえって状態が悪くなるおそれもあります。業者に依頼して、どこから雨漏りしているのかをしっかり確認してもらい、確実な補修をしてもらうのが最善でしょう。
まとめ
換気扇はどうしても構造的に雨漏りしやすいものです。もっとも多い原因は換気口からの雨水の侵入ですが、他にもコーキングのヒビ割れ、外壁のヒビ、フードの劣化など、さまざまな要因が考えられます。
換気扇の補修や対策が必要な場合は、自分で手を加えることも可能ですが、状態を悪化させてしまうおそれもあります。雨漏りには火災保険で補償が効く場合もあるので、業者に依頼して何が原因なのかをきちんと特定してもらい、補修してもらうことをおすすめします。
また、雨漏り対策以外にも電気代の節約や騒音の軽減など、さまざまなメリットがあるレンジフードに交換するのを検討してみてはいかがでしょうか?