日ごろキッチンの換気扇・レンジフードを使っていると、ふいに違和感にぶつかるときがあります。
「聞いたことない音がする」「昔よりも雑音が大きくなっている気がする」「こんなに大きく振動したことない」そんな「小さな異常」に気づいたとき、その原因がわかれば、適切な修理方法もわかります。
今回は、簡単にできるキッチンの換気扇の故障チェックと、簡単に換気扇を直す方法、換気扇の故障の予防法についてご紹介します。浴室などについているシロッコファンとは別の、プロペラ式に焦点を当ててまいります。
「故障かな?」と思った時にできる簡単チェック方法
日ごろキッチンの換気扇を使うなかで、「これって故障?」と疑わしい場面に出くわすこともあります。聞きなれない音がしたり、動作がいつもと違ったり、違和感を覚えたときは、その原因を分析してみましょう。故障が疑われた場合に、すぐにできるチェック法をご紹介します。お風呂の換気扇によくある形とは別の、プロペラタイプについてご説明しましょう。
動かない
換気扇が突然動かなくなったら、よく観察してみましょう。状況ごとに、次のような理由が考えられます。
完全に動作を停止している場合
換気扇の動きが何もかも完全に止まっているときは、配線の接触不良や本体の寿命が理由として考えられます。換気扇の寿命は一般的に10年ほどといわれます。それ以上使い続けている換気扇の異常は、寿命の可能性が高いので、修理よりも買い替えるほうがいい場合も多いです。
振動や異音が発生している場合
換気扇の動きが突然止まったとき、奥から振動や異音が発生している場合は、ファンやプロペラに汚れが付着していることが原因で、モーターに異常が起こっている場合があります。モーターはそれらの要因のために、回転軸の中心がずれることがあるのです。ただずれただけならまだしも、モーター部分が変形したり壊れたりしているときは、そのまま使い続けるのは換気扇そのものの命取りになります。
音を聞いてみる
「ゴー」「ブーン」
ゴウゴウと重たい音がしている場合は、油汚れによって故障が起こっている場合があります。とくに台所の換気扇は、いつもコンロの熱と料理の油にさらされ、油汚れが付着しやすくなっているので、このような音が起きやすくなっています。
「キュキュキュキュ」「キキキ」
何かがこすれるような乾いた音が聞こえる場合は、換気扇の内部にあるオイルが足りていない可能性があります。普段何気なく換気扇を使用していても、実は内部の潤滑油は少しずつ減っているのです。長年使っている換気扇は、たとえ油汚れがなくても、オイル不足で不調が起きる場合もあるのです。
「カタカタ」「カラカラ」
何かがぶつかりながら回るような音がした場合は、長い時間換気扇を使っていることが原因で、モーターに異常が出ている可能性があります。回転軸がずれる、外れる、破損する、変形するなどの理由で、異音がしていると考えられます。
軽く触れてみる
換気扇に異常が見られたら、換気扇の表面を手で触ってみましょう。取り付けをしたときよりも強く振動が伝わってくるようなら、故障している可能性があります。
- 内部に堆積した汚れによって、プロペラやファンの回転軸がずれている
- プロペラ・ファンが破損、変形してしまっている
これらの原因が考えられます。
内部に汚れがたまっていると、プロペラやファンの順調な回転が妨げられ、正しく回転できなくなります。その結果、どこかに引っかかったり擦れたりして、振動が発生しやすくなるというわけです。
ほかにも、フロントカバーが外れかけていたり、プロペラファンにゴミがついていたりするときも、振動と異音が起こることがあるといいます。そのような小さな原因かどうか、少し確認した後、フロントカバーやファンに外見的な異常が見られなかった場合は、より内部の故障を疑ったほうがよさそうです。
ティッシュを換気扇に近づけてみる
ティッシュペーパーを使って換気扇の異常状態を確認する方法もあります。通常、異常のない換気扇の場合は、ティッシュ一枚を通気口に近づけると、そのまま張り付かせることができます。しかし、不調が起こって正しい風量にならない場合は、そのティッシュ一枚を吸い付かせる風量もなくなってしまいます。
この原因としては、
- モーターの寿命
- ホコリの蓄積
この2つが、主な原因としてあげられます。モーターの寿命が迫っている場合は、換気扇が稼働する原動力そのものが弱っているということになります。また、モーターに異常がない場合でも、蓄積したホコリが風の流れを妨げるなどして、風力を落としている場合があるのです。
風の流れがないということは、換気扇としての役割を果たせていないということになります。徹底的な対処が必要にです。
換気扇の故障を直す方法
換気扇が故障するととても厄介なものです。突然換気扇が止まってしまうと、室内の空気がうまく入れ替えできないだけでなく、調理などにも支障が出ます。突然の故障を直すには、どのような方法があるのでしょうか。
お手入れ・分解をしてみる
上記の方法で分析をして、原因の予想ができたら、原因箇所をお手入れすると状況が改善されることがあります。また、自己責任にはなりますが、分解をおこなうと原因を特定できる可能性が高まります。表面カバーを外して中の様子を見てみるのは、そう難しいことではありません。
しかし、細部まで分解するのであれば、ブレーカーを必ず落として安全面に配慮しながらおこなうようにしましょう。ブレーカーを落とさずに作業をすると、ついつい水にぬれた手で触ってしまったり、ふとした折に電源を入れてしまったりしたときに、とても危険な状況になるので、しっかりと注意をしましょう。
換気扇のプロに相談してみる
換気扇が故障したときにできるもうひとつの方法は、プロの業者に相談することです。換気扇の異常には、その原因がわかっても素人には解決できないものもあります。また、業者に依頼することで正しい原因がわかる場合もあるので、間違った原因を想定した見当違いな対処に走ってしまう可能性も少なくなります。
故障の原因のなかでも、湿気によってできたサビの除去や、モーターやプロペラの軸ずれ、劣化による変形が起こっていた場合は、自分で修理するのがとても難しくなります。重曹などを使って掃除をしていても、換気扇の汚れは蓄積されがちですし、劣化はまぬかれません。堆積してしぶとさを増した汚れと戦う時間が取れないという人も、業者の力を借りるのがおすすめです。
換気扇の故障を予防する方法
換気扇を壊してしまった後の対応も大切ですが、本来は誰でも、なるべく換気扇を壊さずに使えるのが一番いいですよね。ここからは、換気扇の故障を予防するのに最適な方法をご紹介します。普段から、故障が起こりにくいような換気扇の使用方法を心掛けてみましょう。
フィルターを取り付ける
ひとつは、換気扇にフィルターを取り付ける方法です。換気扇用のフィルターを装着させておくと、日常的に換気扇に蓄積していく汚れのほとんどは、フィルターがキャッチしてくれます。
フィルターに汚れがたまってきたら、フィルターを交換します。そうすることで、分解して内部の清掃をおこなわなくても、換気扇をきれいに保つことができるのです。また、自動車用のワックスを換気扇に塗るといった方法も、汚れ対策には効果があるとされます。
定期的なお掃除をする
日ごろよく使う換気扇を長持ちさせるには、こまめに掃除をおこなうことが大切です。定期的に掃除をすると、換気扇の内部がどのような状況になっているのかということを把握しやすくなります。
何年も放置していた換気扇を開けてみたら予想以上の汚れがついていてびっくりする、といった展開にもなりません。換気扇のなかの汚れの度合いがわかっていれば、予期せぬ故障に見舞われることも少なくなります。
洗剤の種類によっては逆効果
換気扇の掃除をするとき、気を付けるべきことがあります。換気扇に限らず、しつこい汚れを落とそうとするときは、塩素系漂白剤や台所用中性洗剤などを使うことがあると思います。
それらはアルカリ性の薬剤なので、濃度が高いほど汚れにしっかりと浸透し、きれいになりやすくなるのです。しかし、きれいになりやすいからと言ってあまりに濃度の高いものを選ぶと、換気扇の部品が傷んでしまいます。
まとめ
換気扇の異常を感じたとき、故障が疑われたときにできる確認方法は、次の通りです。
- 動くかどうか確認
- 音を聞く
- 触って振動の有無を確認
- ティッシュ一枚を吸いつけられるだけの風量があるか確認
これらの確認によって、換気扇の異常の原因に大方の見当をつけることができます。故障については、以下の2つの方法で、一時的な修理・故障の予防をおこなってみましょう。
- お手入れや分解をおこなうと治ることもある(分解は自己責任)
- 普段から、フィルターの設置、定期的な掃除をおこない、故障を予防する
換気扇の修理は素人がおこなおうとすると危険が伴ったり、複雑な作業で困難だったりすることもあります。ファンの寿命が縮む原因にもなるベアリングの損傷など、パーツを交換しなければ治らない場合もあります。少しでもわからないことがあったり、手間をかけたくないと思う方は、自分で作業するよりも業者に依頼するほうが賢明でしょう。