あなたのキッチンの排気設備はレンジフードですか?それとも換気扇でしょうか?もしかしたら違いがわからない、という方もいるかもしれません。どちらも料理の際のにおいや煙を排出するための設備というのは共通していますが、それぞれ特徴とメリット、デメリットがあります。
最近ではレンジフードにする住宅が多くなっていますが、換気扇にもメリットはありますし、レンジフードにもデメリットはあります。そこで今回はレンジフードと換気扇について、その違いと特徴を解説していきます。
レンジフードと換気扇どちらがいいのか、選び方についてもまとめましたので、レンジフードに交換しようか迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
レンジフードとは
そもそもレンジフードとはなんでしょうか。においや煙を排出するための換気設備だというのはいうまでもありません。しかし、「換気扇となにが違うの?」と疑問を持たれる方も多いでしょう。換気扇との比較をする前に、まずはこの章でレンジフードの仕組みと種類についてわかりやすく解説していきます。
レンジフードの仕組み
まずはレンジフードの仕組みについてみていきましょう。レンジフードとは、コンロのある調理スペースの上の広い範囲を覆うカバー(フード)と換気扇を組み合わせたものです。厳密にはレンジフードも換気扇の一種ということになります。
レンジフード内部のファンで空気の流れを作り、調理スペースの上のフードから、ダクトをとおして屋外に煙やにおいを排出します。換気扇をフードで覆うことで、煙やにおいをより効率よく排出することができる仕組みです。シロッコファンというファンを使うことが多いため、レンジフードのことをシロッコファンと呼ぶこともあるようです。
フードの形状や使われるファンの種類によってさまざまなものが存在します。次はレンジフードの代表的な種類を紹介していきます。
レンジフードの種類
・スリム型(薄型)
フード、ダクトともにフラットで薄い形状をしているのが特徴です。見た目がスッキリしていてオシャレなものが多く、インテリアデザインのひとつとして採用する人も多いです。お手入れもしやすくコンロと連動する便利な機能をもつものもあり、現在最も新しく、これから主流になるといわれているレンジフードです。
・ファルコン型
フードの側面が曲線的な形状をしているのが特徴のレンジフードです。横から見るとハヤブサという鳥のクチバシに似ているのでファルコン型と呼ばれます。フードの位置が低くコンロとの距離が近いためにおいや煙を素早く排出でき、熱による上昇気流が発生しづらいIHコンロとの相性がよいといわれています。手も届きやすいのでお手入れがしやすいという特徴もあります。
・フラット型(浅型)
上下に薄く浅いフードが特徴で、最もコンパクトで省スペースなレンジフードです。天井が低い場所や狭いキッチンでも取り付けることができます。平型と呼ばれることもあります。
・ブーツ型(深型)
横から見るとブーツのような形状をしたフードが特徴のレンジフードです。デザインがシンプルで、既存の換気扇にフードだけを取り付けることができる分離型というものもあり、現在最も普及しているスタンダードなタイプです。
レンジフードの掃除方法
レンジフードの掃除方法を簡単に解説します。掃除頻度は1ヶ月に1回ほどを目安にしてください。掃除方法は以下のとおりです。
- レンジフード本体を中性洗剤を含ませた布で拭き取ります。
- 整流板、フィルター、ファンを取り外す。
- レンジフード内部を拭く。
- 取り外した部品を中性洗剤とぬるま湯につけ、スポンジやたわし、ブラシなどで擦り洗いする。
- しっかり拭き取り、元どおりに組み立てる。
レンジフードを掃除する際は以下のようなことに気をつけましょう。
- 照明や便利機能のついているものの場合、電子機器の部分が濡れないように気をつける
- 油が固着していたり溜まっていたりすることがあるので、割り箸などで削り落とすと掃除しやすい
- 酸性洗剤を使うと金属や樹脂を傷めるおそれがあるので、洗剤は中性洗剤かアルカリ性洗剤、もしくは専用のものを使う。
- 部品の変形、破損につながるので熱湯は使わない。
基本的に電子機器は水に弱い性質があるので、掃除をする際はあまり濡らさないようにするのがポイントです。また、油汚れを落とそうと熱湯を使ってしまうと高熱によって部品が変形してしまうかもしれないので、使用しないようにしましょう。
【レンジフードと換気扇】どっちがいいの?
ここまで、レンジフードの仕組みと種類、掃除方法を簡単に紹介してきました。換気扇とフードを組み合わせたものがレンジフードということでしたね。ではいよいよ、換気扇とレンジフードのメリットとデメリット、それぞれどんな場合に適しているのかを解説していきます。
レンジフードのメリットとデメリット
・メリット1:どこにでも設置できる
換気扇は壁に設置されているファンを使って直接屋外に排気します。そのため、換気扇は外に面している壁に取り付けなければなりません。
一方、レンジフードはダクト(通気口)をとおして屋外に排気することができます。したがって、キッチンが屋外と面している必要がありません。そのためほとんどの集合住宅では、間取りに制限があるためレンジフードが使われます。
・メリット2:排気効率がよく電気代も安い
レンジフードは、そのフードによって吸い出す空気の範囲を狭めます。デメリットに見えるかもしれませんが、そうではありません。調理スペース近くの空気だけを排気するため、煙とにおいを排出する効率がよくなり、電気代も安くなるのです。
・メリット3:見た目がオシャレでインテリアデザインの一部になる
換気扇のみの場合は換気扇が露出しているため、油で汚れたフィルターやプロペラが見えてしまっていますが、レンジフードならファンやフィルターは基本的には見えないようになっています。フードの形状や色なども選べるので、デザインの一部として取り入れることができます。
・デメリット1:取り付けが大変で換気扇よりも費用がかかる
換気扇以外にフードやダクトなどがあるため、取り付けが大変というデメリットがあります。レンジフード自体の価格も高いですが、取り付けが大変なぶん、依頼した場合の取り付け費用も換気扇に比べると高くなります。
・デメリット2:掃除が大変
メーカーではお手入れが楽になるようにさまざまな工夫をしていますが、構造上どうしてもレンジフードのほうが大きく、部品も多くなるため、換気扇と比べるとお手入れが大変です。掃除するときには分解、組み立ても必要なのでその分の手間もかかります。
ですが最近では自動洗浄機能や、拭くだけでいいノンフィルタータイプなど、お手入れがほとんど必要ないレンジフードもあるので、そういった製品を選ぶことでデメリットを軽減できます。
換気扇のメリットとデメリット
続いて換気扇のメリットとデメリットです。換気扇とは、キッチンの壁面に取り付けられたプロペラファンによって煙やにおいを排気する設備です。ダクトがないので、キッチンが屋外に面している必要があります。使われるファンの種類から、プロペラファンと呼ぶこともあります。
・メリット1:取り付けが簡単で安い
壁にプロペラファンを取り付けるだけなので取り付けが簡単で、依頼した場合の費用もレンジフードに比べて安く済みます。
・メリット2:掃除が簡単
プロペラファンが露出しているため、お手入れが簡単です。フィルターを外すだけですぐに拭くことができるので、毎日のお手入れでキレイさを保つこともそれほど苦労しないでしょう。また、レンジフードに使われるシロッコファンは小さな羽根がたくさんついていますが、換気扇に使われるプロペラファンは大きな羽根が数枚だけなので、その点も掃除のしやすさにつながっています。
・メリット3:圧倒的にコンパクト
フード部分がないので場所を取りません。レンジフードはどんなに小型でもある程度のスペースが必要ですが、換気扇はほとんど必要ありません。条件さえ揃えばどんなに狭いキッチンでも設置できます。
・デメリット1:屋外に面している必要がある
直接屋外に排気するのでキッチンが屋外に面している必要があります。集合住宅ではキッチンが屋外に面していないことが多く、設置が難しいでしょう。
・デメリット2:屋外環境の影響を受ける
屋外に面しているため、排気能力が雨風の影響に大きく左右されます。また、換気扇を回していないときに隙間からの外気や音、虫が侵入してくる原因にもなります。
・デメリット3:比較的騒音が大きい
ファンが露出しているため、どうしても騒音が大きくなります。
特徴を理解して適したほうを選ぶ
以上がレンジフードと換気扇のメリットとデメリットです。どちらも一長一短ありますので、自分の状況に適したほうを選びましょう。紹介したメリットとデメリットから、それぞれの適した状況を簡単にまとめてみましょう。
レンジフードのほうがおすすめの場合は以下のとおりです。
- 集合住宅である
- 調理スペースが壁に面していない
- デザイン性、快適性、機能性を重視
換気扇のほうがおすすめの場合は以下のとおりです。
- コスト重視
- 調理スペースが壁、屋外に面している
- スペースに余裕がない
キッチンの設置スペースが確保でき、予算に余裕があるならレンジフードがいいかもしれません。デザインや機能よりもコストパフォーマンスを重視したい場合で、換気扇が設置できるのであれば換気扇がオススメです。
【レンジフードと換気扇】寿命と交換時期
どちらにするか検討する際には、製品寿命も大事な要素です。ということでここからは、レンジフードや換気扇の寿命、交換の目安について解説します。
寿命?それとも故障?確認方法
レンジフードの寿命、交換時期の目安はおよそ10年といわれています。寿命や交換時期のサインは、異音と排気能力の低下です。異音がする、うるさくなったと感じる場合や、以前よりも壁や天井がすぐに油っぽくなる場合は交換のサインかもしれません。一度掃除してみて、それでも改善されない場合は業者に相談して修理か交換を検討しましょう。
換気扇の交換時期の目安もレンジフードと同じでおよそ10年です。交換時期のサインはレンジフードと同じく、異音と排気能力の低下が目安になります。ファンを回すモーターの寿命が近い場合、スイッチを入れても動かないことがあったりする場合があります。その場合は交換を検討しましょう。
修理、交換の際に必要となる費用
交換時期が近付いた場合は、業者に相談して修理、交換することをおすすめします。自分での作業は不可能とまではいきませんが、やはり難しいのが現実です。
換気扇であれば自分で交換するのも比較的簡単ですが、問題はサイズです。同じサイズを買うか、サイズが違う場合はなんらかの加工や工夫が必要になります。さらに、電源に配線が必要だった場合、配線工事も自分でやらなければなりませんので、感電の危険や、壁や天井の油に引火する可能性もあります。
レンジフードの交換となるとさらに困難になります。組み立てや配線は換気扇よりも圧倒的に複雑です。重量が重く、壁や天井に固定するものなので万が一不備があれば落下、大怪我、火災につながるおそれもあります。火と油を扱う場所の設備なので、設置はプロの業者に依頼すべきでしょう。
修理したときにかかる費用相場
業者に修理依頼をした際にかかる費用相場は10,000円~20,000円程度です。交換時期でないのに動かなくなったりした場合は修理が必要になります。修理の費用相場は故障の重度など場合によって多少変わってきます。同じ大きさくらいのレンジフードと換気扇では構造が簡単なぶん、換気扇のほうが安くなるでしょう。
レンジフードの場合は、さまざまな機能がついた高機能のものから、シンプルに排気機能だけのものと幅が広いので、修理費用も相場である20,000円を超えてしまうことがあります。まずは業者に見積りを取ってもらいましょう。
交換した際にかかる費用相場
交換は修理よりも高くなる傾向があります。場合にもよりますが、特にレンジフードの交換となると、難しい作業になるので当然費用は高くなります。どのタイプからどのタイプに交換するのかなど、状況による違いが大きいようなので、まずは相談しましょう。交換にかかるおよその費用相場は、およそ40,000円~80,000円となっています。
修理や交換はプロに任せよう
換気扇やレンジフードは、修理も交換も危険が伴います。配線工事が必要な場合は基本的に電気工事士の資格が必要になるのでプロにお任せしましょう。費用についても場合によって幅がありますのでまずは相談です。
業者選びのポイント
業者を選ぶ際のポイントは、無料で相談や見積りをしてくれるかどうかでしょう。見積りもなく依頼をすると予想外の費用がかかる場合もあります。見積りをもらった後のキャンセルができるか、見積りの金額と作業後の金額が変わらないか、というところも確認しておきましょう。
レンジフードと換気扇、どちらがいいのか悩んでいるという相談だけでも気軽にしてみるといいかもしれませんね。
まとめ
今回はレンジフード仕組みと種類の紹介と換気扇との違い、メリットとデメリットから選び方、交換時期についてまとめましたがいかがでしたでしょうか?どちらがいいのか悩んでいる方はこの記事を参考にしていただければ幸いです。もしまだ悩んでいる場合は、業者に相談してみてくださいね。交換や修理は自力では難しいので、業者に依頼しましょう。複数の業者に相談してみると、自分に合ったものが見つけられるかと思います。